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『転載による現代詩』『クロラ』『小倉拓也』

2009-05-30

何をしたって構わない

19:23 | 何をしたって構わない - 『転載による現代詩』『クロラ』『小倉拓也』 を含むブックマーク はてなブックマーク - 何をしたって構わない - 『転載による現代詩』『クロラ』『小倉拓也』 何をしたって構わない - 『転載による現代詩』『クロラ』『小倉拓也』 のブックマークコメント

もし今日吹いているこの風が、理不尽な風でなければ

それは停止するだろう

だれの髪をもかきみだす穏やかな風、走らなければ生まれない向かい風


狂いながら走る牝馬

泣いていることに気づかない父親

一度も産まれなかった僕の兄

それら僕の家族たちを

その写真を、PCごと焼いて


飽き足らないままにふと疾走は止まる

見つめるだけで目の前ではだかになっていく少年

それは僕にとって不快でもなく

心を捨ててしまえるほどの輝きでもない


心を捨てて

生きていけるのならば

それは悲劇ではなくなる

それは喜劇でもなくなる

死を知らないことは恥ずかしいと

僕らは毎日暗唱させられた

死を想えと

そして死を償えと

そしてお前の肉と命をあじわえと


ただ歩くことの残酷さ

あらゆる生活の矛盾

それらすべてを基礎教養として

僕らは叩き込まれたのだ

前置きなしでは喋ることもできない子供たち

やがて羽化して

忘れたころに大人になるだろう

小さい死のように

あじわいの唾を濃くして

天真爛漫に

蚊を殺す


――彼女はこんなふうに喋る

「暑くはなく、そして寒くもない。

もしくは凍えるように寒く、焼けて朽ちるほどに暑い」

だれが彼女に毛布を掛けられるだろう


何をしたって構わないと

ずっと言われつづけてきたんだ

何をしたって構わない

だからさあ

事を起せと

言われつづけて

立ち尽くしても走り出しても

どちらも等しく優しい意味につつまれていて

「事」の意味がだれにも理解できない


どうして僕らは道を踏み外すことができないんだろう

物理法則は間違いで

心も体も間違いで

間違う姿にこそ想いを募らせる

手を取り合って

僕らは間違った未来へ行くだろう

ここにじっとしていても

どこへ足を踏み出すとしても

それらはすべて間違いだから

どうして残酷と分かっていながら遅い歩みをつづけるのだろう


理不尽でなければこの町も空も存在しないのに

どんどん分解されて思い出は震えながら知らない景色になる

知らない町で僕らはまた理不尽な風と会うだろう


そして間違った理想さえ僕らは二度と掲げないだろう

けれど間違った言葉で僕らはいつか語るのだろう

二日酔いにも似た

時には輝く恋のような

溜息の出るほどの無為と徒労を