Hatena::Groupgendaishi

『転載による現代詩』『クロラ』『小倉拓也』

2009-04-19

大津仁昭歌集「爬虫の王子」より

01:08 | 大津仁昭歌集「爬虫の王子」より - 『転載による現代詩』『クロラ』『小倉拓也』 を含むブックマーク はてなブックマーク - 大津仁昭歌集「爬虫の王子」より - 『転載による現代詩』『クロラ』『小倉拓也』 大津仁昭歌集「爬虫の王子」より - 『転載による現代詩』『クロラ』『小倉拓也』 のブックマークコメント

パウダーに素肌被はれ人ならぬ未だ化身の夏の夕暮

わが顔を遺影に似合ふ角度から鳥や獣がほのぼのと見る

妻にして一管の笛 人知れぬ惑星の風に今宵ひびけよ

インタヴューもとより一対一の席しだいに死者の声音混じる

カクテルが便器に零れ滲みゆく水に見下ろす美しき婚姻

澁澤龍彥「高丘親王航海記」より

01:00 | 澁澤龍彥「高丘親王航海記」より - 『転載による現代詩』『クロラ』『小倉拓也』 を含むブックマーク はてなブックマーク - 澁澤龍彥「高丘親王航海記」より - 『転載による現代詩』『クロラ』『小倉拓也』 澁澤龍彥「高丘親王航海記」より - 『転載による現代詩』『クロラ』『小倉拓也』 のブックマークコメント

「おかしなやつだな。おまえは前に儒良を見て、人間に似ているからこわいといい、今度はまた人間を見て、儒良に似ているからこわいという。わたしたちとちがって色はいささか黒いが、あの男だって、ふつうの人間とべつに変りはないではないか。それともおまえの目には、あの男が儒良の人間に化けたすがたにでもうつったのかね。」

19:22 |   - 『転載による現代詩』『クロラ』『小倉拓也』 を含むブックマーク はてなブックマーク -   - 『転載による現代詩』『クロラ』『小倉拓也』   - 『転載による現代詩』『クロラ』『小倉拓也』 のブックマークコメント


楽しみは、悲しみをも運んでくる

海、あるいは湖に、打ち寄せる波を

子供のうちは知らなかったのです

それが毎度違うものだとは


風、もしくは林をすり抜く空気

それが異形の冷たさだとは

鹿を打ち抜く兆弾が

音によって知らされた(音ってなんて厭らしいのでしょう)

音、それは厭らしい

言葉となってそれはもっともっと厭らしい

それは大義名分を持っている

私たちは正しさに隷属する


私たち

抵抗します

楽しみが運ぶ悲しみに

悲しみが、膝元に抱く花束のような大海に


心は求めています

楽しみを

五歳の頃に林を駆け抜けたとき、首筋にできた切り傷を

あの楽しみを


海、林、町、ベッド、それらに

打ち寄せる光が

毎度違うものだとは

ああ、まさか毎度違うものだとは


誰も説明しなかったのです

いくつも受け取った愛のように楽しみは

更なる楽しみを求めていました

一杯の酒が酔いよりも次の一杯を求めるようにです


鹿が撃たれる音がしました

それは一つの銃音でした

いま私はベッドに横たわります

それは誰かの愛のようです